不動産投資でFIREを達成しました!!

シミュレーション日記12:現実は厳しい!?

本コラムは「収益物件数 No.1 国内最大の不動産投資サイト楽待(らくまち)」に筆者が1年前に投稿したものです                                                  
テリー隊長
テリー隊長

初心者向け!不動産投資分析入門:本当のCFってどんな感じ?

ここまでの復習

T先輩「A君、ここまで、不動産投資のからくりを、テリシムを使って考えてきたわけだけど、どんなことを学んでくれたかな?」

A君「はい。いくつもありましたけど、こんな感じでしょうか?」

1.足しの株式、引きの不動産
実際の所得税、住民税、事業税は、サラリーマンの所得との総合課税であり、税額はサラリーマンの年収とともに変化する。決して、株のようにCFが積み上がる投資ではないことを理解すること。総合課税のCFからサラリーマンのCFを引いた残りが不動産のCFであることがポイント。総合課税を考えずに、適当な税率でCFを計算することはリスクがある

2.スーパーCFの壁
ローンを使った場合(元利均等)、CFは最初の年(購入した時)が一番良くて、年々悪くなる。これは、家賃が年々減少することと経費になる利息の金額が年々減少からである。(金利が1%以下のような場合は、影響は少ない)ただし、ローンを耐用年数に合わせれば、ローン完済後、CFが爆発的に増えるスーパーCFになることもあるが、その直前は非常に苦しい状況:壁になることを数字的に理解しておくことが大切

3.築古の減価償却の崖
築古不動産への投資は、投資初期に大きな減価償却が取れてCFも出るが、減価償却が切れると同時にCFが激減する。シミュレーションは、ローンの返済年までしっかり行い、CFがマイナスにならないように注意する

T先輩「大体、ポイントは抑えたようだね。あとは、コンサルタントのシミュレーションをむやみに正しいとは思わず、自分でわかるまで計算をし直すことが、ある意味一番大事かな」

現実的な不動産投資シミュレーション

T先輩「これまで、不動産投資のCFが原理的にどのように変化することかを理解するために、経費の増加や家賃の下落、空室率の上昇はとりあえずすべて0としてきたんだ

でも実際は違うよね。ただ、このようにして説明しないと、CFが年々下がっていくのは、実際は、支払利息の変化の影響が大きいにもかかわらず、単に家賃の減少や空室率の上昇だと勘違いしてしまう初心者が多いからだよ」

A君「じゃあいよいよ、実践的なシミュレーションをするわけですね」

T先輩「その通り!シミュレーションをするということは、いろいろと条件を変えてCFがどのようになるか結果を確認するということで、一通りで満足してはいけないんだ」

A君「経験のない初心者の僕には、条件をどのように変えたらいいかがとてもわかりにくいですが、よろしくおねがいします!」

繰り返しになりますが、これまで、不動産投資のCFのからくりを説明するために、あえてシミュレーションでは

・経費率:常に家賃の10%
・家賃の下落率:0%
・空室率:0%

としてきましたが、A君も大体、理解ができたようなので、これらの数値をもう少し、現実的な数値を考えてシミュレーションを行ってみたいと思います

ちなみにテリシムでは、固定資産税と減価償却費は経費に含めずに計算しています

経費について考える

まずは、経費率について考えてみましょう

以下は、年々大きく増えるものではないので、ある程度、金額の目処がつく経費です

ある程度固定して考えられる経費
・電気代(共用部、外壁、駐車場、エレベータなど)
・水道代(共用栓)
・インターネット接続料
・賃貸管理費(管理会社)
・建物管理費(区分所有マンションの管理料)

次に、年々、金額が増加する経費です

年々増加する経費
・修繕費(入退去に伴うリフォーム代、機器の寿命対応)
・消耗品(電球など定期交換が必要な部材)

前半の経費の賃料に対する割合(経費率)は、物件を購入したときも、時間が経過したあとでもそれほど大きな変化はないです

これに対して、シミュレーションをする上で重要なのは、やはり、年々変化する修繕費と消耗品です。特に新築の場合、年々、入退去の頻度は上がっていき、それに伴い、リフォーム関係の修繕費が増加していきます。特に、大体、寿命が15年ぐらいのエアコンや給湯器が壊れると、修繕費のインパクトが大きいです

あくまでも感覚的な数値ですが、私が木造新築物件のシミュレーションを行う場合に使う経費率は、その年の家賃収入に対して

新築時:10%、22年目:12~15%

ぐらいです。22年目が少なめ印象ですが、賃料が下落していく中での経費率12~15%が、CFに与える影響は結構大きいです

もちろん、Excelのワークシートであるテリシムのシミュレーションは、経費率を自由に変えて行うことができるので、経費率を甘めや厳し目にふってCFの変化を確認することもできます

そして、中古物件の場合は、築年数にも寄りますが、年々の変化は少ないと思いますので、最初から12~15%とか大きめな数字を使った方がいいかもしれません

家賃の下落について考える

家賃の下落を予想することは、非常に難しい作業です。一般的には、平均して、一年に平均1%ぐらいと言われたりしますが、それこそ、物件次第のところがあります

私の所有している都内の2つの中古鉄骨造賃貸マンションで比べてみましょう。どちらも、新築時の入居者さんが残っているので、新築時の賃料がわかります。それとの比較です

物件A:新築から28年間で下落率8%
物件B:新築から18年間で下落率20%

年1%の家賃下落率という考えは、必ずしも正しいとは言えません

そして、どちらも、ここ5年ぐらいは家賃の下落はなく、部屋によっては家賃が上がっている部屋もあります

結局のところ、やはり物件次第(立地、仕様など)なのでこれを正確に予想することは非常に難しいです

だからこそ、いろいろな仮定をもって、厳し目、甘目のシミュレーションをすることの意味があるのだと思います

ただし、家賃相場はネットでいくらでも調べられますので、まずはそれを調べてみましょう。この作業すら怠っているようではシミュレーションをやっても意味がない結果になることは言うまでもありません

空室率について考える

空室率についてよく言われるのが、

ファミリータイプは、シングルタイプより入退去が少ない

というものです

これも、一概に言えないと思います。確かにファミリータイプは家賃も高いし、子供がいれば転校を避けるために長く住む人が多いような気がしますが、それでも様々な理由で退去は一定数発生します

これに対して、競争力のあるシングル物件の場合、全く退去が出ないようなこともあります

これもやはり物件次第(立地、仕様など)ということなのでしょうか?

まずは、仮の値として、新築時2%、22年後5%ぐらいが適当な数値ではないでしょうか?

さあ、計算してみましょう!

物件は、これまで通り、以下のようなものを想定しています。いわゆる

8%の新築木造アパート

です

・新築木造2階建て、1Kx6戸
・販売価格:6000万円
 (土地2500万円、建物3500万円)

・表面利回り:8%
・ローン:金利1% 22年
・融資金額:5400万円(頭金600万円)
・神奈川県川崎市、私鉄の駅徒歩11分

参考のため、まずは、これまで取り上げてきた、22年間空室率0%、家賃下落率0%、経費率10%で一定の結果を示しましょう

■空室率0%、家賃下落率0%、経費率10%(一定)、年収一定の場合

給与年収も1年目550万円、22年目550万円で変化なしとしました

CFの変化:年70万円 ⇒ 年74万円

■空室率、家賃下落率、経費率、年収を変化させた場合

条件を以下のようにしました

条件的には少し甘いかな?というぐらいですが、そこはシミュレーションですから、疑問のある方は、お好きな数値で計算してみることをお勧めします

結果を見てみましょう!

まずは、家賃の変化を見てみましょう(1年 ⇒ 22年目)

480万円 ⇒ 394万円

シミュレーションでは、家賃は、空室率と家賃の下落率を合わせて考えていますので、22年目では、想定満室賃料から考える表面利回り8%の年間賃料から18%の下落となっています

次に総合課税で考えた税引き後のCFを見てみましょう

70万円 ⇒ 1万円

税引き後のCFとはいえ、22年目には年間のCFが1万円になります。ただし、22年間の税引き後CFは、合計で700万円のプラスになりますので、一概に投資として不適格とは言えないと思います

また、23年目からは、ローンの返済が終わり、スーパーCFが始まり、年間200万円以上のCFが得られることを考えると、すべての人に勧められませんが、やり方次第では

表面利回り8%の木造新築アパート

も検討の余地は十分あると考えています

もちろん、大切なのは、シミュレーションに

・自分のサラリーマンの年収を考慮した税金計算
・空室率、家賃下落率、経費率の正しい見積もり

を反映させられているかだと思います

まとめ

A君「T先輩、やっとゴールに近づいてきたような気がしますね。ありがとうございます」

T先輩「やっぱり、投資は、先入観や感覚だけで考えずに数字を使って考えるものだと思うよ。8%木造新築アパートに対する評価は、人によって分かれるけれど、その物件の仕様やその人の属性によって、大きく変わって来るから、本当は正解はないんだよ

何度も言うけど、コンサルタントがくれる1回限りのシミュレーションの数値を決して信じてはだめだよ」

A君「確かに、22年後の僕の年収が1200万円になっているかどうかはわからないし、家賃の変動や経費率の変化を完璧に予想することは不可能ですよね」

T先輩「その通り。ただ、不動産投資が株式投資などに比べて優れているのは、自分が努力して物件を調査したり、購入後にバリューアップしたり、効率のいい経営したり、自分でいろいろとやれることがあることだよ」

A君「でも、僕みたいな不動産投資初心者は、購入前にどうやって物件の調査をしたらいいかよくわからないです」

T先輩「なるほど、じゃあ、次回は、不動産投資物件の調査について解説してみよう」

A君「ありがとうございます!!」

シミュレーション日記、まだまだ続きます

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました