初心者向け!不動産投資分析入門:所得計算をして税金を求めよう
テリー隊長のコラム
シミュレーション日記
01:回っているってどういうこと?
02:足しの株式、引きの不動産
も参考にしてください
目次
源泉徴収票
「A君、源泉徴収票からサラリーマンの給与のCFの計算を復習しておこう」
「T先輩、源泉徴収票って、言葉も数字の関係もよくわかりませんね」
「税金の計算法を知らないと中身はわからないね。とりあえず、源泉徴収票の①~⑤を下の図で説明するね」
「源泉徴収票の見方さえわかれば給与のCFは、簡単に求まるけど、これって、結局は④所得税13万円を求めるだけの税務署向けのシートなんだ。会社もこれを渡して、これがあなたの1年間のお給料と税金ですよというなら、あまりにも不親切な話だよね」
サラリーマンの給与のCF
「これをExcelを使ってまとめてみよう」
「色を塗ったところは、源泉徴収票から書き写してね。他の部分はExcelで計算させよう。最後のCF(手取り)は、以下の式で求めるよ」
①収入-⑤社会保険料-税金:35
=CF(手取り)
550-86-35=429万円
「CF(手取り)とは、給与-実際に出て行ったお金を源泉徴収票から計算すればいいんだ
A君の
年収は550万円
CF(手取り)は429万円
これから不動産投資を始めるサラリーマンは、まず、自分の給与のCF(手取り)を知ることから始めてほしいね」
注:復興特別所得税額は省略しています
不動産投資シミュレーションの条件
「Excelのシミュレーションの前に、物件の情報を整理しておこう」
・新築木造2階建て、1Kx6戸
・販売価格:6000万円
(土地2500万円、建物3500万円)
・表面利回り:8%
・提携ローン:金利2.8% 22年
・神奈川県川崎市、私鉄の駅徒歩11分
「必要な情報だけExcelに入力してみよう」
「耐用年数は、このアパートは木造なので法定耐用年数22年をいれるよ」
◇
「次は、融資の条件だ」
「返済は、元利均等払いと元金均等払いがあるよね。僕は計算を自動で処理したいからExcelの関数を使って年払いの計算をしているんだ、ただ、年払いの計算だから少し誤差が出るんだよね。正確に金額を求めるならネットのローン計算サイトと使うことをおすすめするよ」
参考:Excelの金利元金計算関数
元利均等:利息 IPMT 元金 PPMT
元金均等:利息 ISPMT 元金 融資金額÷年数
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「まとめるとこんな感じになるよ」
①~⑤は、源泉徴収票から書き写してください
所得計算
「シミュレーションは、次の2つのステップでやるよ」
1. 所得計算:給与+不動産の税金計算
次に
2. CF計算:給与+不動産のCF計算
「給与+不動産で考えるのは非常に大事なのに、コンサルタントでこれをやる人は見たことないよね。でも、これってみんな確定申告でやっていることなんだよ」
◇
「まずはこの図の赤で囲まれた不動産所得を求める計算をやってみよう」
◇
「T先輩、やっと、不動産投資シミュレーションらしくなって来ましたね。空室率や家賃の変動とかいろいろな経費とか、素人の僕にはさっぱりわかりません。
コンサルタントは、まさに腕の見せどころって感じで、いろんな数字をおしえてくれましたけど、それが本当かどうか?どこまで信じていいのか?とっても不安です」
「A君、その気持ちよく分かるよ。僕も最初はそうだったから。でも、初心者の人が不動産投資シミュレーションでつまづく最大の原因は、最初からいろいろと細かくシミュレーションしすぎてしまうことなんだよ」
「えっ!それって、どういうことですか?」
「つまり、いろいろな条件を変化させる前に、まずは初期状態を計算することが最も大切なんだ。ある意味、ベストな状態だよ。数値を変化させるのはその後でいくらでもできるし、もし、初期状態で投資不適格だとわかれば、それ以上計算する手間も省けるよ」
「初期状態ってどういうことですか」
「空室率0%、家賃下落率0%、修繕費0円ということだよ。シミュレーションの専門用語では初期状態:イニシャル・コンディションとも言うよ」
「それって!意味あるんですか!?」
「A君のような初心者はまず、そこから始めて、空室率や家賃の下落率、ローン金利を変化させてみて、なにが起るか感覚的に掴むことが重要な勉強なんだ。コンサルタントがやる計算は、彼らが考える単なる一つの答えであって、シミュレーションとは言えないと思うよ」
「なるほど、そういえば、T先輩って、大学院で数値シミュレーションを専攻していたんですよね。なんか納得しちゃいました」
◇
「じゃあまず不動産所得の初期状態を計算してみよう」
不動産所得は、家賃収入から経費を引いて求めます
家賃収入:想定利回りが8%なので
売買価格6000万円x8%=480万円
経費の内訳は以下の通りです
利息年額:シミュレーション条件に入力した値
減価償却費:建物価格3500/耐用年数22
固都税(固定資産税+都市計画税):
不動産の固定資産税評価額x1.7%が基本です
(固定資産税1.4%、都市計画税0.3%)
固定資産評価額は以下の考え方を用いました
土地:
常に土地購入価格の70%としています
ただし、200平米以下の土地の場合、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減額があります
建物:
建物購入価格の70%を評価額のスタートとして、年々減価して評価額の20%になると一定(本シートでは、スタートが建物購入額の70%のため建物購入額から見ると購入額14%で一定とします)
固定資産税評価額の考え方
固都税の正確な計算は複雑なため、ここではおおよその数字てあることを理解して使ってください(固定資産税評価額は、地方自治体の職員が建物の仕様を元に算定します)
その他:家賃収入の10%
(管理費、共用部の水道光熱費などの合計)
不動産所得59万円が求まりました
◇
次に給与と不動産の総合課税での課税所得を求めます
まずは、所得合計(給与所得+不動産所得)を計算し、そこから所得控除を引いて課税所得を求めます。Excelでは以下のようになります
給与所得、所得控除(基礎控除+社会保障料など)は、源泉徴収票に記載されています
課税所得283万円が求まりました
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最後に課税所得から所得税と住民税を求めます
所得税の計算は、ネットの計算サイトを使うといいでしょう。課税所得283万円のとき、所得税は19万円です
19万円の内訳は
給与の所得税:13万円 オレンジの部分
増加分 :6万円 緑の部分
(6万円は不動産に投資したことによる増加分であるが、投資不動産単体の所得税と考えず、あくまでもA君の場合の増加分ととらえること)
住民税は課税所得の10%としました。事業税は、不動所得が290万円以上のときにかかる税金なので今回は対象外です
総合課税の所得税と住民税の合計47万円
が求まりました
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最後に、税金(所得税+住民税)の変化を求めてみましょう
この物件に投資したときに増加した
税金の増加が12万円
であることがわかりました
まとめ
以上をまとめると以下のような表になります
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「T先輩、このアパートを買って、不動産所得が増えると、税金が12万円増えるということですね。でも、不動産所得が35万円増えているから、税金が12万円ぐらいの増えても致命的ではないですよね?」
「A君、それは大きな間違いだよ。所得とCFは違うだろう。結論は、CFを計算するまでわからないんだよ」
◇
次回、いよいよ、この物件を買ったときにCFがどのようになるかCF計算をしてみたいと思います。何度も繰り返しますが、これはあくまでA君の場合のシミュレーションであって、この物件の単体の評価ではないことを忘れないようにしてください
◇
シミュレーション日記、まだまだ続きます
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました