
新型コロナの影響で自宅からのネット利用は必須となりました
目次
インターネットの提供方法
賃貸住宅におけるインターネットの接続環境について、今回の建物建築を始めた頃と現在(2020年5月)では少し状況や要求度が変わってきたような気がします
これまで、通常の賃貸住宅のインターネットといえば、自宅にいる平日の朝晩と週末に、パーソナルな利用がメインの目的でした。しかし、新型コロナの影響により、2020年3月ぐらいから在宅勤務、リモートワークをする人が増え、自宅で高速インターネットを利用する必要性が高まって来ました
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入居者にすれば、高速なWiFiインターネットが無料で利用できることが理想です。引越しと同時に、簡単に無料WiFiが使えれば、さまざまな生活の立ち上げがスムーズに行え、新しい住居での不安が解消されることでしょう
一方、大家にしてみれば、高機能な設備の無料提供は、投資対効果をよく考えないと不動産賃貸経営の収益悪化につながります
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ちなみに、プロパンガスの導入と交換条件で無料WiFiや格安の導入費用、ランニングコストのサービスを受ける方法もありますが、こういうサービスにはあまり乗り気になれません
理由は、プロパンガス会社と大家は得をして、入居者は高いガス代を負担することになります。入居者の満足度が下がれば、トータルで得なのか損なのかわからなくなってしまいます
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賃貸住宅において、どのようなインターネット環境を提供するか、現在主流の以下の3つの方式を比較して考えてみました
1. LAN方式
2. 光方式
3. 配管のみ
1と2は無料提供が基本=利用料は大家負担
3は希望する入居者が自費で光インターネットを設置するので大家の負担はなしです
ただし、どの方式も、各部屋へのケーブル用の配管の設置は必要になります
3つの方式について解説します
1. LAN方式

引用:NTT西日本ホームページ
光ファイバーを集合住宅の共用部に引き、ルーターを設置し、そこから各戸へLANケーブルを配線してインターネットの接続を行います
各戸でWiFiルーターをつなげば無線LANも使用可能です。NTTを初め、様々なサービス会社ここまでの設置と運用を行います。ほとんどの場合、設置費用と月々の使用量は、大家が負担することとなります
費用の目安(すべて大家負担)
設置初期費用:10万円~30万円(WiFiルーター込)
月々の利用料:500円~2000円/世帯
比較的低コストで導入でき、ランニングコストも安いです。プロパンガス会社が、プロパンガスの導入とセットで導入するのは、だいたいこのタイプです
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ネットの速度は低速から中速です。1本の光インターネット(1GHz)を全世帯でシェアするので、特に利用の多い夜間のスピードは、低速になりがちで、入居者の不満がでる不安があります
仮に、入居者の多くが在宅勤務でリモートワークをした場合、ネットのスピードが耐えられるか非常に不安です
しかし、インターネット無料を売りにするのであれば、一番手軽な方法です
月々の利用料は、その分、家賃や管理費に上乗せして回収する考えの大家さんが一般的ですが、結局は全世帯分のランニングコストが固定費としてずっと発生するわけですから、スペックをよく考え、長期的な視点で導入を決める必要があります
一度導入した入居者サービスをダウングレードするのは、契約上も問題が生じる可能性はあります
2. 光方式

引用:NTT西日本ホームページ
光ファイバーを集合住宅の共用部に引き、そこから光スプリッターを用いて各世帯に光ファイバーを配線します。この方式であれば、各世帯は専用で1GHz~2GHzの高速インターネットを使うことができます。その代わり、導入費用も月々の使用料も高額になります
費用の目安(すべて大家負担)
設置初期費用:30万円(WiFiルーター込)
月々の利用料:3000~4000円/世帯
この方式は、高速なインターネット環境を求めている入居者さんにとって、この方式が無料で使えるのであれば、まさに理想の環境でしょう
ただし、大家にとってみれば、10世帯で月3万円~4万円、20世帯で月6万円~8万円のランニングコストが固定費として発生し続けることになります。売りとしてはインパクトがありますが、果たして、すべての入居者が高速なインターネットを求めているのか?そのことが明確にならないと中々、導入には踏み切れない金額だと思います
3. 配管のみ
光インターネット対応の配管を各世帯まで工事しておくだけで、インターネットのサービスは提供しません。配管は、上記の1と2の方式でも必要であり、配管の仕様については、特に違いはありません
光インターネットの接続と契約は、大家の許可を得て、入居者が個別に行うことになります
今回、1~3のどの方式にするかとても悩んでいたので、とりあえず建築工事においては、とりあえず配管の工事のみをお願いして、インターネットの提供方式については最後に決めようと考えていました
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そこで、NTTに相談しながら、どの方式にも対応でき、コストミニマムになる配管方式の図面を自分で作成し、建築会社に渡しておきました

コストミニマムになるようにした工夫は、MDFとIDFを合計2つだけにしたところです
MDF:Main Distributing Frame 主配線盤
IDF:Intermediate Distribution Frame 中間配電盤
MDF、IDFとは、写真のような壁付のボックスです。大きさはNTTさんに相談しながら、必要最低限の600x600x150としました(写真は、実際にマンションの共用部に設置したものです)緑色の線は、各配管に予め通しておく呼び線と言われるものです

MCF/IDF
本来であれば、たくさんの配管のつながるMDFとIDFは、各階に設置することとなりますが、今回は5階建て10世帯なので図のようなレイアウトも可能になりました
配管もなるべく細いほうがコスト的には有利な上、電気工事屋さんにも設置がやりやすいので喜ばれますが、あまり細くすると光ファイバー等配線を通しにくくなるので配管の太さの選択は重要です。これもNTTさんに相談しながら決めました
さて、どれにしましょう?
入居者さんも無知でないので、
インターネット無料=その分、家賃が高い
ことにも気がついています。そのため、「インターネット無料だから、少し高い家賃を払っているのに、この程度のスピードしか出ないのか!?」と思われるのは絶対に避けないといけません
そう考えると、1.LAN方式は、安くて導入がしやすいけれども、スピードに満足できないような状況ができると問題があると思います
では、最高のスピードが得られる2.光方式がベストな選択でしょうか?この方式の最大のデメリットは、値段が高く大家の負担が半端ないことです
3.配管のみの最大のメリットは、大家のランニングコストの負担がないことです。でも、このご時勢、
無料のインターネットがない!?
なんて許されるのでしょうか?
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ご存知の方も多いと思いますが、インターネット無料が、全国賃貸住宅新聞の2019年度人気設備ランキングの1位になりました

このアンケートが、どのような人を対象に、どのような方法で行われたのか不明ですが、この記事を見て、インターネット無料は必須!と思うのは少し早いと思います
アンケートの結果をよく見てください。インターネット無料以外に、元々、入居者が費用を毎月払っている設備はありません。つまり、インターネット無料だけが、無料になった分だけ自分が確実に得をすることができる選択肢です
これでは、インターネット無料が、どれだけ人気があるのか客観的に評価できません。それに、そもそもインターネット無料は、設備ではなくサービスの料金のことを言っているのでこのアンケート自体がおかしいです
無料か、有料か、どっちがいいですか?と言われればだれでも
無料がいい!!
と答えるに決まっています
もし、世の中のマンションのオートロックがほとんど有料であったら
オートロック無料がいい!
になりますよね
なので、元々有料の設備を無料にしたらほしいですか?と元々無料の設備と一緒に選ばせてはいけないのです
これは、明らかにアンケートの選択肢に欠陥があり、結果を参考にすることはできません
結論!
実は、2年前、都内に7世帯のファミリータイプのテラスハウスを建築しました。その時も同じような検討をして、3.配管のみを選択しました
新築で競争力のある不動産でしたので、無料インターネットで差別化して競合に対抗する必要も感じていませんでした。中途半端なものを入れるよりは、配管だけしておいて後は入居者さんが好きなサービスを自分で導入してもらうほうが、喜ばれるのではないかと考えたからです
でも、近所の新築アパートに立っていたインターネッと無料!ののぼりは少し気になってはいました
また、5Gの時代が近づいていました。5Gは、スペック的には光ファイバーの10倍から20倍の速度が出ます。電波を使うので障害物などの影響やパケットの制限を受けると思いますが、スマホでの普及から、徐々に家庭内ネットワークへ進出してくると思っていました
そして、すでに竣工から2年が経ちますが、入居者さんで光ファイバーインターネットを引いたのは、7世帯中、1世帯だけです。有線のインターネットが意外と人気がないのに驚かされました
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ということで、今回の鉄骨造のマンションにおいても3.配管のみを選択しました
実際、今回の物件の竣工から1ヶ月が経ち、すでに7世帯が入居していますが、光ファイバーインターネットについての問い合わせは、今のところ0件です。大家としてはランニングコストがかからないので非常に気が楽です
ネットでは
無料インターネットは必須!
無料インターネットで家賃アップ!
無料インターネットで空室対策!
の記事をよく見ますが、導入コスト、ランニングコストの大家の負担は決して小さいものではないと思います
高速な無料インターネッとがついていれば入居者さんが喜ぶのは間違いありませんが、それがないからと言って入居者さんは意外に気にしないかもしれません
でも導入するかしないか、正解はないのかもしれませんが、ただ、宣伝に踊らされず、費用対効果をよく考えて冷静に検討していただきたいと思います
なぜならば、一度導入した設備・サービスは基本的に継続して提供しなくてなならないからです
今後、賃貸住宅のインターネット環境が、どのようになってくいくのか、とても興味があります
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デベロッパー曜日、まだまだ続きます
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました