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デベロッパー曜日30:築古戸建ての接道2mの罠

本コラムは「収益物件数 No.1 国内最大の不動産投資サイト楽待(らくまち)」に筆者が1年前に投稿したものです                                                  

テリー隊長

少しでも〇〇があったらアウトです

売地の不動産広告

もう5年ぐらい前の話ですが、土地から新築を目指して都内で手頃な土地を探していた時、以下のような不動産広告に出会いました。築古の戸建て付きです

「フリープランで建築可能!」とありましたの、測量図を取り寄せて確認すると接道幅は2.002mでした。そこで、早速、設計士さんにプランの検討をお願いしました

すると、設計士さんから連絡が

「テリーさん!この土地、建築できませんよ!!」

「えっ!?本当ですか?なんでですか??」

「接道条件を満たしてないですよ」

「本当ですか??5mの道路に2m以上接道しているじゃないですか!?」

建築基準法

では、なぜ建築できないのか建築基準法で確認してみましょう建築基準法
第43条
 建築物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならない
第42条 「道路」とは幅員4メートル以上のものをいう。 

これらの条文を見ると、4m以上の道路に2m以上接道していることが求められています

今回の土地は、この条文の条件を満たしているように思えるのですが・・・・・広告にも建築可能って書いてありますよ??

実は、接道条件には、建築基準法には書かれていない解釈と運用があるのです。宅建の勉強をしたことがある人ならご存知だと思いますが、私も当時は知りませんでした

条文では明確になっていないのですが、2mとは、幅2mのことのようです。要するに、接道のすべての部分の幅が2m以上でないといけないと言うことです。別な言い方をすれば、直径2mの円が接道の最初から最後まで通過できないといけないわけです。途中がくびれていてもいけません

残念ながら、この土地は、幅Wが一部1m99cmしかなく、再建築不可であることがわかりました。つまり、Wが2m以上ないといけないんです

今回の土地の状態

なぜ建物が建っているか?

今回、建て替え前提として購入を検討していてこの件に気が付きました。でも、接道義務を満たしていないのになんでこの土地に建物が建っているのでしょうか?

推理してみましょう!

その土地の建物は、昭和62年建築のものでした。建築基準法が制定されたのが昭和25年ですから、すでに接道条項は存在していました

そこで、測量図を確認してみました。最新が昭和51年のものです

少し見にくいですが、接道幅は入口2002、奥2030と書かれています。接道の幅は1910のようにも見えますが、これは面積計算の三角形の垂線の長さであって接道の幅ではありません

ここからは想像ですが、昭和60年ごろは、建築設計用のCADも普及しておらず、建築設計は手書きの図面で行われていたと思います

そうすると、接道の幅が入口から奥まですべてに渡って2m確保されているかを数学的に求めるのはほとんど不可能です。この土地の場合、入口2002、奥2030と入口も奥も2mを超えているので、区役所の建築審査課も、接道2mを満たしていると判断したのでしょう

今回、CADを使ってコンピューターで幅Wを計算したところ、最初の数十センチが、2mを切っていたことがわかりました(残念)

悪あがき

私は、接道の問題を知り、不動産会社を問い詰めたところ、担当者もこのことは本当に間違えていたようでした

そこで、売主から大幅な減額を認めさせるとともに、隣地に対して、一部の土地の分割売買を提案しました。これで、接道幅2mを確保しようという作戦です

たった1cmのことです。隣地も1cmを売ったからと言って、隣地も接道、容積率、建ぺい率に問題出るわけではありませんでした。であれば、土地を売ってくれる可能性があるのではないかと思い、仲介の不動産会社に交渉してもらいました。もちろん、測量などの費用はすべて私持ちですし、それなりの価格も提案しました

残念ながら、結果はだめでした

隣地にしてみれば、あまりメリットはないですね。両隣りとも古いアパートでしたが、隣りに新しいアパートが建つのを快く思っていなかった感じでした

あと、売主と隣地の所有者があまり親しくなかったのも影響したような気がします。やはり、ご近所とは親しくしておいたほうが、なにかのときにいいことがあるということでしょう

結局、困ってしまったのは売主さんということになりました

築古物件は要注意!

この土地の広告に、再建築不可の文字はありませんでした。その上、フリープランで建築可能!との文字もあり、明らかな法律違反です

私も危うく、この物件を購入しそうになりましたが、これがもし、建替えでなく、築古の建物を生かして賃貸に出そうと考えていたら、気が付かなったかもしれません

再建築不可の物件を、再建築可と知らされて購入した場合、契約の解除はできるかもしれませんが、それが何年もあとであった場合、相当厄介なことになることは間違いありません

そんな訳で、敷地延長(旗竿地)の広告に「再建築不可」の文字がなかったり、「建築可」の文字が踊っていたりしても、それだけを信じて購入を決めるのは大変危険です

接道2mでも通路が道路に対して直角になっているか測量図で確認しないと大変なことになります

コラムのサブライトルの「少しでも〇〇があったらアウトです」〇〇には「角度」が入ります

ちなみに、法律上の接道条件を満たしていなくとも、敷地が公園に面しているとか、水路に面していても橋がかかっているとか「交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がない」場合、建築審査会というところの同意が得られれば、建築が認められることもあります

接道2mの旗竿地(敷地延長)の築古物件を購入する時は、建物が建っているからと言って再建築可とは限らないので特に気をつけてください!

広告に再建築可!でもですよ!!

デベロッパー曜日、まだまだ続きます

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました

今年もよろしくお願いいたします